管理栄養士が教える夏に気をつけたい食中毒の予防方法
執筆者:井本 かおり (管理栄養士)
こんにちは。管理栄養士のKaoriです。
梅雨に入り蒸し暑い時期になってきました。気温と湿度が上昇する夏になると、細菌による食中毒が発生しやすくなります。今回は食中毒の基本と予防法をご紹介します。
1. 食中毒とは?
食中毒とは、細菌やウイルス、寄生虫、毒素などが混入した食品を摂取することで発生する病気です。症状としては、腹痛、下痢、嘔吐、発熱などがあります。食中毒は特に夏場に多く、気温と湿度が高くなることで細菌が繁殖しやすくなるためです。
2.夏の食中毒の原因は?
- 夏場(6~8月)に多く発生する食中毒は、「細菌」が原因のものが多いです。
- 温度や湿度などの条件がそろうと細菌は食べ物の中で増殖し、その食べ物を食べることにより食中毒を引き起こします。
- 細菌は目に見えない小さなもので、匂いや色などで見た目では判断が出来ません。
▶夏場に発生する食中毒菌が増える条件は?
- 室温(約20℃)で活発に増殖し始め、人間の体温ぐらいの温度(35~40℃)で増殖のスピードが最も速くなります。
- 水分を好むため、湿度も高くなる梅雨時には温度の条件も合わさり細菌が増えます。
▶食中毒菌が増える条件や特徴は?
夏場に食中毒の原因となる代表的な細菌の特徴は下記の図の通りです。
3. 予防のポイント
食中毒を防ぐためには、
▶ 細菌を食べ物に「つけない」
▶ 食べ物に付着した細菌を「増やさない」
▶ 食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」
という3つのポイントが原則となります。
▶ 細菌を食べ物に「つけない」=洗浄、消毒。器具を使い分ける。
- 手にはさまざまな雑菌が付着しています。しっかりと手を洗いましょう。
- 生の肉や魚などを切ったまな板や箸などの器具から菌が付着しないように、使った後は、きれいに洗い、できれば殺菌しましょう。
- 焼肉などの場合には、生の肉をつかむ箸と焼けた肉をつかむ箸は別のものにしましょう。
▶食べ物に付着した細菌を「ふやさない」=低温で保存する!
- 細菌の多くは高温多湿な環境で増殖が活発になりますが、10℃以下では増殖がゆっくりとなり、マイナス15℃以下では増殖が停止します。
- 肉や魚、野菜などの生鮮食品や惣菜は、購入後、できるだけ早く冷蔵庫や冷凍庫に入れて保存しましょう。
- 調理した料理は常温放置せず、すぐに食べましょう。
▶ 食べ物や器具に付着した細菌を「やっつける」=加熱処理!
- ほとんどの細菌は加熱によって死滅します。
- 特に肉料理は中心までよく加熱(中心部を75℃で1分以上)することが大事です。
- ふきんやまな板、包丁などの調理器具は、調理後洗剤でよく洗ってから、熱湯や台所用殺菌剤(次亜塩素ナトリウム)をかけて殺菌しましょう。
※自家製の鶏ハムなど肉類は十分に加熱をし、鶏のたたき等加熱が不十分な肉は鮮度が新しい場合も食中毒菌が肉についている可能性があるため食べないようにしましょう。
4.食中毒になったらどうする?
万が一、食中毒と思われる症状が発生した場合には、自己判断で市販の下痢止め薬などを使用せずに、病院を受診しましょう。また、水分補給をしっかり行い、安静にすることも大事です。
5.まとめ
梅雨から夏にかけては特に食中毒のリスクが高まる時期です。食材の取り扱いや調理における基本的な衛生管理を徹底することで食中毒を予防しましょう。
参考資料:
厚生労働省 食中毒https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html
政府広報オンライン 食中毒予防の原則と6つのポイント
https://www.gov-online.go.jp/featured/201106_02/